Step M

Report

2025.06.06

観客の目線を想像するということ

ONAYA Rion

ONAYA Rion

先週のクリエーションで、講師の方からふとこんな質問をされました。
「その動き、観客にはどう見えると思う?」

一瞬、返答に詰まりました。というのも、私はこれまでずっと「自分がどう動きたいか」「この動きをどう深めるか」ばかりに意識を向けていたからです。もちろんそれも大切だけど、その言葉で初めて“他者の視点”を意識してみようと思いました。

それからは、練習中に一度立ち止まって、自分の動きをスマホで録画してみることにしました。あとで見返してみると、自分の中では「劇的に動いている」つもりだったところが、画面越しでは意外と淡白だったり、逆に何気ない仕草がとても印象的に見えたり。

そのズレがとても面白かったし、ちょっと怖くもありました。でもその“ズレ”こそが、作品の可能性なのかもしれないとも思います。

それ以来、リハーサルでは「今この空間のどこに観客がいると想定しているか」「何を見せようとしているのか」を、少しだけ意識するようになりました。身体の角度や目線の位置、音との間合いも変わってきた気がします。

自分の身体を通して世界を表現することと、それを誰かに“受け取ってもらう”こと。この2つのバランスの中で、作品は生まれていくんだな、と少しだけ実感できた日でした。